会長挨拶

第44回日本臨床免疫学会総会
総会長 河上 裕
(慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所
細胞情報研究部門 教授)

日本臨床免疫学会は、基礎免疫学の成果を人の疾患に応用し、病態の解明や新規治療法の開発に関して情報を共有し討論する場を提供することを使命としています。近年、生物学的製剤に始まる新しい免疫学的な新規治療法が、自己免疫疾患やがんなど多分野で飛躍的に開発されて臨床応用されてきたことを考えるだけでも、日本臨床免疫学会の今後担うべき役割は益々大きくなっています。
また免疫病態は、いわゆる免疫疾患(感染症、自己免疫、アレルギー、移植、がん)だけでなく、メタボリック症候群や動脈硬化などの代謝疾患、あるいは神経変性症など、多様なヒト疾患で重要なことが分かってきました。日本臨床免疫学会の大きな役割の一つは、分野や診療科を超えて、疾患横断的かつ異分野横断的(新規測定技術や制御技術の導入)に、臨床免疫学すなわちヒト免疫学の理解とその臨床応用を討論することです。この分野横断的な徹底的な議論こそ、日本臨床免疫学会の基軸です。実際、本学会では、この数年、臨床免疫学を扱う6学会(膠原病、神経免疫、消化器免疫、皮膚免疫、生殖免疫、がん免疫)合同でのシンポジウムを開催してまいりました。
今回の総会では「新たな時代を迎えた臨床免疫学:ヒト免疫学の横断的研究と臨床応用」のテーマの下で分野横断的な臨床免疫学を議論いたします。

近年、純粋に科学的な興味で得られた基礎免疫学の成果が大きな創薬につながること、逆に各種オミックス解析などの新技術を駆使することにより、免疫介入臨床試験で得られた臨床サンプルを用いて新しい科学的な発見をすることも可能になりました。リウマチやクローン病などの免疫疾患では、TNFやIL6の阻害抗体やJAK阻害剤などの開発により治療効果が画期的に改善しましたが、私自身の分野であるがん免疫領域でも、PD-1/PD-L1やCTLA-4の阻害抗体などの免疫チェックポイント阻害療法や培養T細胞療法で明確な治療効果が得られ、免疫療法ががん治療における大トピックスとなり、アカデミアと企業との共同研究が盛んに進められています。しかし、まだ効かない患者さんも多く、効く方と効かない方を見分けるバイオマーカーの同定、効かない方を効くように変える治療法の開発が大変期待されています。また、PD-1のように日本で見つかり日本の企業が開発したにもかかわらず、臨床試験やその解析も米国で行われてしまうこともありました。今、日本におけるアカデミアと企業との連携によるヒト免疫病態の解明が大変期待されています。日本発の新規創薬、その実用化・産業化のために、日本におけるアカデミアと企業の連携体制の再構築に向けて、是非、企業とともに日本臨床免疫学会を開催できればと願っております。

本総会では、総会長の専門領域とは関係なく、常設プログラム委員会が、分野横断的かつ疾患の克服に繋がるテーマを長期的な視野から企画立案いたします。広く工学等の異分野、各種疾患分野の国内外の研究者を招き、産官学連携を基盤とした日本における横断的な臨床免疫学を発展させたいと思っております。

参加者の方が、情報交換を行い、実りの多い学術集会となりますよう、事務局一同鋭意準備を進めております。
多くの皆様からの演題のご応募およびご参加を心よりお待ちしております。

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